先日、設計者(中村好文さん)と施主の共著で出版された 「パン屋の手紙」 を拝読しました。
当初は取り組んでいる案件に役立てられないかとの思いでしたが、読み続けるうち視察研修のきっかけになるのではと感じてきました。
パン屋をつくられた施主はフレンチのシェフでもあり、レストランにお勤めされていたとき、パンの魅力に取りつかれ専業になられたそうです。
ちなみにこのレストランを設計されたのは建築家の内藤廣さんです。こちらでもこのパン屋さんでつくられたものが提供されていることを知り、両方伺うことにしました。
向かう途中、いろいろなものが目に留まります。なかでもこの納屋と馬小屋に目を引かれました。雄大で過酷な環境下では自然とシンプルになるのだと感じます。
こちらが先に訪れたレストランです。さきほど目にした土着的な建築と通じるものを感じます。
次に訪れたパン屋さん。本に登場している方が接してくれるのですが、勝手に親近感が沸き不思議な感覚になります。有名人に会っているような感じです。思いが通じたのかあとで建物を眺めていたらおまけを持ってきてくれました。
今回の研修に行けなかった所員へのおみやげを思案していたとき、本に出ていたエピソードを思い出しました。「設計料の半分をパンで」というものです。これはどちらかがやめない限り続くそうで、お聞きしてみるとパンの郵送をお願いできるとのこと。余韻が少しでも共有できればと思いお願いしました。
届いたパンの写真をとってくれていた方がいました。感謝です。段ボール箱をあけた瞬間、いい香りが立ち込めます。パンからは道すがら目にした建築や自然に通じるものを感じます。設計者の方は関係が続く限り毎月届くとは何ともうらやましい話です。
文:庄司