古民家カフェ

 大学生の頃に、古民家をリフォームしたカフェが随分流行していました。日本では全国的に空き家が問題となっています。2013年ごろで既に全国の空き家数は約820万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家とも言われていましたが、いま調べてみたら2033年には2,150万戸にも膨らみ、3戸に1戸が空き家になってしまう見込みだそうです。
 想像もつきませんが、人口の減少と共にドーナツ化現象が激化してこれからの田舎は空き家だらけになってしまうのでしょうか。コロナ下で進んだリモート化でUターン就職が推進され、ショッピングセンターには都会と変わらぬ店が入るようになり、ネット通販が台頭した昨今では、公共交通の利便性など一部の不便さを度外視すれば都心と変わらぬ豊かな暮らしが出来るようになって来ました。つまるところ、田舎にも光明が刺してきたと思っていたのですが。

 都市と田舎の絶妙なあいだに住んでいる身としては空き家問題をもう少し憂いていたいところですが、古民家カフェの話に戻ります。古民家カフェは、空き家の有効活用の手段のひとつとしても知られています。とはいえども、古民家というオシャレでヴィンテージな響きに見合うおうちは一握り。
 今まで訪ねた古民家カフェはどちらかと言えば池袋や新宿など都心のど真ん中にありましたが、今回はひょんなことから地元にも古民家カフェがあるなと気が付き、興味本位でふらっと行ってみました。

赤城山百年古民家 初雪堂/赤城本店
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 生まれ育った群馬県は、勤務地である埼玉や大学の有った東京に比べると土地が広く余っており、クラッシュ&ビルドが進んでいない分「古い住宅」が多い認識でした。
 そんな中わざわざ「古民家」とうたっているだなんて、どんなお家なんだろう・・・と向かった所、

古民家カフェ 赤城山百年古民家 初雪堂/赤城本店の外観。

 お家というよりはお屋敷と言った方が良いような立派な住宅でした。
 のれんを潜って木引き戸の玄関を開けると、1階席と2階席のどちらが良いかと聞かれました。初雪堂さんは赤城の山の中腹ほどにあり、斜面に建っていることから、きっと景色が良いだろうと2階席を選びます。
 他にもお客さまがいらっしゃったのであまり引きの写真は取れなかったのですが、中はこんな感じです。

 2人で訪ねたのですが、タイミングが良かったのか個室を案内して頂きました。お部屋には、高さがほぼ同じちゃぶ台が2台。ヴィンテージやアンティークといった形容が似合うような、年齢を感じるしっとりとした木の肌触りです。左の机には引き出しが付いていたので思わず開けてしまったのですが、中にはメモ帳とボールペンが入っていました。今はカフェなのは十分承知しているのですが、住まいを感じられてちょっと良い感じ。
 部屋は襖で区切られており、すべて外すと大きな1室になる昔ながらの日本家屋です。実際、1階は開け放たれたひと間になっており、非常に開放感のある空間として利用していました。
 個人的には、部屋仕切りの襖に丸球捻締の錠(※)が有ったのがちょっと良いお屋敷感が有って好きポイントです。(※まるたまねじしまり。日本特有の昔ながらの金属錠です。写真を撮ったつもりで撮れていませんでした。興味のある方はぐぐってみてください。)

 古民家カフェですから、カフェごはんやスイーツも楽しんで来ました。小洒落たお飲み物もたくさん有ったのですが、玄米茶でいただきました。どのメニューも大変においしかったです。

 今まで行った古民家カフェはどちらかといえば「カフェ」感が強く、お家を改装したお店にいるなーと思いながら過ごしていたのですが、今回は個室だったこともあり、「人が住んでいた名残」を強く感じることとなりました。家でくつろぐ感覚に近く、ついついおしゃべりも弾み、のんびり楽しい時間を過ごすことができました。
 他にも食べてみたいメニューもありますし、赤城山の山頂を臨む面のカウンター席では借景を楽しむこともできそうです。
 山の中腹なこともあり家からは少し時間もかかるのですが、また行ってみたいと思います。

余談:
 もしこれを見て行ってみようかなという方がいらっしゃいましたら、近くにあります、犬と触れ合えるドッグパーク名犬牧場と、和豚もち豚の精肉・加工品を扱っているハム工房ぐろーばるがとってもオススメです。道の駅まえばし赤城では温泉に入ることもできます。ぜひ遊びに来ていただけたらうれしいです。

文 霜鳥

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